SEL FISH

彼は違う意味にとって、別の日にもうひとつを観ようと言い始めた。面倒だけど、ちゃんと説明してあげたというのに。

「『それ映画行く意味あんの?』とかほざきやがったの! 映画観に行くんだから、好きなもの観て何が悪いの」

「その意見は尤もデスね」

「つか、だったらあたしに合わせろって感じじゃん!? 一人で観れない恋愛映画ってなんだよって思うでしょう?」

アキの視線が文庫本に戻りかけている。机をトントン叩いて、こちらに注目させた。

「…わかってるって、最近よく流れてる濃いラブシーン入ってるとかいう」

御名答。商品券プレゼントしたいわ。



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