SEL FISH
それは短所が長所になるのと同じことなのかもしれない。
「いのりちゃん風に言うと、『今幸せならその過程がどんなだろうと否定しない』」
「アネゴって……物真似下手だね」
「真似してないんだけど!?」
ケラケラと笑って、アキくんは息を吐く。
この前もそんな顔を見たな、と思い出す。
いつだか思い出せない。生暖かい風が頬を撫でる。
「あーあ、アネゴに借りふたつ出来たなー」
ふざけた声に、ふざけたトーンで返す。
「借りパク常連が何言ってんだか」
私はただ、二人には幸せになってほしいと思ってるだけだ。
end.
20151003