SEL FISH

「熱下がった?」

「たぶん」

そういえば、と額に貼っていた冷やしピタを取る。
熱を取って温かくなっていた。

アキがベッドに座って、あたしの額に手を置く。

「なんで来たの?」

「藤沢さんに祈璃の分の面談予定のプリント押し付けられたから」

「それはどうもありがとう」

鞄から出されたプリントを受け取る。

手が離されないので、自由な方で持った。アキと二人きりになるのはいつぶりだろうと考える。

「あのさ、祈璃」

「うん?」

「風邪ひいてる祈璃にこんな話をするの許してね」

喉の奥が痛い。
あたしは頷いた。


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