SEL FISH

アキが笑った。
なら、もうこの話は終わり。

「てゆーか、名倉くんはなんでアキの彼女が堂本さんだと思ってるの?」

視線がすっと逸らされた。

「……前に会ったとき、そこに偶然堂本さんが通りかかって。勝手に名倉が思ってただけで」

「じゃあ! 訂正を! してよ!」

「あの後ちゃんと会って、祈璃のことも話した」

なら良し。と頷く。

「抱きしめて良い?」

聞かれて、抱き着いた。あ、そういえば汗かいたままだったと思い出して離れようとするけれど、離れることは出来なかった。

ゆっくりと唇が重なって、浸食される。



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