SEL FISH
合縁奇縁
寝坊したのかと待っていたけれど、午前の授業が終わるまで祈璃は現れなかった。
「え、いのりちゃん休みなの?」
いつもの通り昼休みに教室まで堂本さんが来る。手に手作り弁当を持っていて、俺もコンビニで買った弁当とおにぎりの入ったビニール袋を持って歩く。
「珍しいね。それで、あれからちゃんと話した?」
確かに、堂本さんとこうして二人だけで昼休みを過ごすのは初めてだ。
「名倉くんと」
「話したよ。完全に縁を切ることはしなかったけど」
鮭の切り身を食べて、堂本さんはこちらを向く。
「そっか」
何か言われると思って内心すごく構えていたけれど、あっさりと言われた。