SEL FISH
扉が開いて現れたのは白人。金髪と緑に近い目の色。
誰だろう。父親? 歳の離れた兄? それとも親戚の人? まさか強盗とか……。
「もしかしてイノリのボーイフレンド?」
祈璃の名前を知っていた。そして話しているのが日本語であることにホッとする。
「はい、プリントを届けに」
「昨日まで元気だったんだけど、朝に熱出しちゃってさあ。あがってあがって」
あれよあれよという間に祈璃の家にあがり、リビングに通されるより先に『INORI』というプレートが掛けられた扉の前に止められた。
「ボク、夕飯の買い物しないといけないんだよね。ちょっとイノリのことよろしく」