SEL FISH

クラスの集まりの話をしているみたいで、堂本さんは迷っている。

「ごめん、クラスの方行くね」

その頬には涙の跡があった。式で泣いたんだと思う。

手を差し出す。何も言わずにそれを握って笑顔を見せる。

堂本さんとは違う大学に進むことになった。会えないから寂しいというわけじゃなくて、高校生の堂本さんと別れるのが惜しいと感じた。

すーちゃんママもすごく泣いてたしなあ、似てる。

「うん、今度遊ぼうね」

「勿論。アキくんも一緒に遊びに来てよ」

「お泊りしに行くね!」

「え、俺も?」

二人一緒は勘弁なんだけど、と堂本さんが笑った。



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