SEL FISH
一番はあたしだけど
ショッキングピンクに塗った爪を堂本さんの背中に立てた。
「え、何?」
驚いた顔をして振り向く堂本さん。
「アキが委員会でいなくてつまんない」
「知らないんだけど」
「堂本さん、アキにあたしをお願いされてたじゃん!?」
「初耳なんだけど!?」
ガリガリとセーターの上で爪を砥いでいると、鬱陶しそうに堂本さんは振り向く。
この席になって数週間。最初は堂本さんのことがうざかったけれど、今では軽減している。構ってちゃんの背中も落ち着いたみたいだし。
ハブられ状態はそのままだけれど、体育の時はあたしと二人ぼっちのことが多くなった。