SEL FISH

マジ怖い、とアキが肩を竦める。

「なんでこんな子と仲良くしてんの?」

堂本さんは明らかにあたしに対して失礼な質問をアキに投げかける。机の中から小説を出したアキは、きょとんとした顔を見せた。

「そーゆー堂本さんも仲良くしてんじゃん」

あたしが口を挟むと、嫌そうな顔をする。だって本当のことだし。

そんな顔をしながら、堂本さんは反論をしてこなかった。
可愛いあたしに向かって、悪態をつくことが出来なくなったんだと思う。





「バイトしようかなあ」

なんとなく言ってみた放課後の廊下。

「……え、急に?」

ワンテンポ遅れてアキが尋ねる。


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