SEL FISH

その瞬間に、音量を下げるはずのボタンを間違えて上げてしまって、ピロリンと微かに音がなってしまった。
すかさず担任の方を確認する。

流石にそこまでは聞こえていないらしく、無反応。これが取り上げられたら人生が半分終わるのと同じ。

ホッと息を吐いて、最近買ったばかりのゲーム機に目を戻す。
何故か隣からすごい視線を感じる。

ロングホームルームの話は終盤に差し掛かっていた。参加していない奴等の分はテキトーに割り振られるのだろうと思いながら、チラと隣へ視線を向けた。

俺の隣はあの"祈璃"。

ゲームのことで噂でもたてられるかな、と後々の面倒事を考え始めていた。



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