SEL FISH
…クラスメートを部屋に連れてくるなんて、思いもしなかった。
制服を着た人間が部屋に二人いることに違和感を覚える。でも、ここでゲームを始めた祈璃に今から帰れというのは酷な気がした。
「……駅前のコーヒーストア、行かなかったんだ?」
「んー? あ、頼子のあれ? 行かない行かない、あたしコーヒー嫌いだもん」
「付き合いで行くって選択肢はないと」
「だったら、コーヒー嫌いって言った時点で違うものに変更してくれなきゃ駄目。それに頼子に散々文句言われたから、もう付き合わなくて良いし」
さらりと言ってのける。
正論ではないけれど、俺は納得してしまった。