SEL FISH
それでも暗くなることのなかった祈璃は、毎日俺の隣に座り、誰と付き合っただとか別れただとかの話を聞くことになる。
「……別れた?」
持っていた文庫本から顔を上げる。
「え、数日前付き合ったって言ってなかった?」
「三日前」
「で、いつ別れたの?」
「昨夜」
はや、というより、もうそれは付き合っていたと呼べる長さではないような。
「…最短記録更新おめでと」
「嬉しくないしおめでたくなーい」
「で、ふったのふられたの?」
それを聞くのは、俺の役目とも言える。
end.
20150208