SEL FISH
「……は? 付き合った?」
小説から顔を上げたアキは、見ずとも呆れている顔をしているのは分かっていた。
「次はどこの誰と」
「バイト先の三芳くん」
「へえ、最短記録更新しないように頑張って」
しないよ! とツッコむのにワンテンポ遅れてしまった。メールを打っていたから。
三芳くんから来るメールは絵文字が豊富なので可愛い。カラフルなそれを見ながら頬が緩む。
「……キモい」
「なんか言いました? 堂本さん」
「いのりちゃんっていつもこうなの?」
前の席の堂本さんがアキに聞く。