SEL FISH

納得していない顔で堂本さんは溜息を吐いた。






バイトのシフトは、同じ高校の人と一緒にしないように組んでもらっていた。
だから、少し油断していた。

「もう入ってなかった?」

「うん?」

「剃刀入りのラブレター」

冗談混じりに、でも心配そうに三芳くんは聞いてくる。
入っていた。いたけれど、もう大丈夫。剃刀は不燃ごみと知ったから。

「うん」

「そっか、んじゃ帰ろ?」

差し出された手を握る。隣に並んで帰り道を歩いた。

「あ、ジュース買いたい」

「コンビニ行く?」

行く、と答えると、駅前のコンビニに寄ってくれた。



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