SEL FISH
旧式ラブレター 下
ふと静かになって、三芳くんの方を見ると、近付く顔。
今から逃げるのは不自然で、顔を止めた。
唇を重ねるのは苦手だった。
「三芳くん、これ……」
「え? また入ってたの?」
驚いた顔で三芳くんはあたしの持った手紙を見て、顔を顰めた。
「うん。バイトが無い日って忙しい? 一緒に帰れる?」
「ごめん、他の日は違うバイト入れてるんだ」
「そっか」
働き者だ。そんなに稼いで何を買いたいのだろう。
学校からはアキと一緒に帰ろうっと。
緊急事態なので仕方がない、と頭の中で考える。
「今回は怒らないの? あたしの為にバイト辞められないの!? って」
「堂本さんそんなこと言ったりするの?」