SEL FISH
「あんたのことなんだけど」
「アキー、今日一緒に帰ろ。あ、堂本さんも一緒に帰る?」
購買から帰ってきたアキが首を傾げる。
「彼氏は?」
「バイトだって」
ふーん、と返したきり。
「私、今日は図書館で勉強するからパス」
堂本さんは前を向いて手をひらりと振った。
図書館で勉強だなんて、真面目。
そういえば再来週は試験。
アキの本屋に付き合って、あたしも漫画を買った。
「猫だ、かわいい」
おいでおいでーとしゃがんで腕を広げてみるけれど、こちらを一瞥して行ってしまう。