SEL FISH
あーあ、行っちゃった。
「あたしの可愛さに目が眩んじゃったかな」
「久しぶりに祈璃っぽい言葉聞く」
「そう?」
笑うアキは、「行くよ」と歩き始める。
あたしも立ち上がってその背中を追った。
バイトへ行くと、相も変わらずラブレターが入っていた。
この人も、よく毎回のように剃刀買えるなあ。捨てられるだけなのに。
「いのりちゃん、この前一緒に帰ってたのって」
「あ、それはね学校の……」
「アキ?」
「え?」
何故三芳くんがアキを知ってるの?
「俺、県外の中学だったんだけど、アイツ有名だったよ。多分周りで知らない奴は居ないんじゃないかってくらい」