SEL FISH
発散と解消
窓を叩く雨や風の音。
近くの電車は殆ど止まっている。テレビでは警報や注意報がうるさいくらい流れていた。
ダラダラとリビングでそれを見ていると、チャイムが鳴った。
ナツは帰れないから会社に泊まると言っていたけれど。インターフォンの方を振り向く。
「……は?」
立ち上がって玄関の扉を開けて見えたのは祈璃の姿。
「アキー、ゾンビ倒すゲームやらして」
にこ、と笑った頬に血がついているのが分かった。その腕を引っ張って、中に入れる。
タオルを渡すと、髪を拭いて、履いていたタイツを脱いだ。
「乾燥機使う?」
「ううん、タイツだけだし。ビニール袋ちょうだい」