SEL FISH

だったら、別に良いと思ってしまった。

「県外の中学だったみたい」

「三芳って奴が?」

「うん、アキって有名だったって」

ふうん、と興味のないことなのでテキトーに返した。
祈璃が首から腕を離して、隣に座る。

コントローラーを持って、テレビ画面を見た。

「全ステージクリア目指す」

「不可能に近いけど頑張れ」

「そこは嘘でも頑張れって言うとこじゃない!?」

唇を尖らせて俺の方を睨む。それから、テレビに向き直った。

いつもは俺が座っているところで祈璃がゲームをしていて、いつもは祈璃がいるベッドに俺が座っている。



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