SEL FISH

堂本さんママは、あたしとアキを見て微笑んだ。

可愛らしい人だと思ったけれど、確かによく見ると堂本さんに似ている。特に口元とかが。

「こんにちは、上がっていって」

ぱちん、と弾けるように目が合った。これが母親というものなのか。

「はーい! ぜひ!」

「え!?」

「だって堂本さん、折角のお母様のお誘いだし。ね? アキ」

「うん」

「そこは遠慮して!?」

堂本さんの意向は無視して、お家にお邪魔した。
あ、堂本さんの匂いがする。

「家にお友達連れてくるなんて小学校ぶりじゃない? 昼に焼いたクッキーがあるの。持ってくからね」



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