SEL FISH
「服に対する収納スペースが少なくない? 着ない服は捨てたら」
「男にそういうこと言われるのが一番ムカつくんだけど」
「それわかるー」
堂本さんに賛同したところで、部屋の扉が開いた。堂本さんママが両手にクッキーと飲み物を持ってきてくれた。
片方をアキが受け取って、テーブルの上に乗せる。
美味しそう。
「ゆっくりして行ってね」
そうして堂本さんママは部屋を出て行く。アキは閉まった扉を見て、堂本さんに視線を戻した。
「優しそうな人だね」
「んー……ああいう風にしたのは、あたしだからね」
苦笑いしながら、クッキーを齧った。
end.
20150304