糸
「私、そんな万能じゃないよ?
なれないものだってあるよ。」
自虐的に言ってしまうのは気のせいだと思いたい。
「そうか?
例えば……俺のお嫁さんとか?」
なんておどけて言うもんだからそろそろ腹筋が痛い。
「まず、涼太に彼女ができるかだよね〜」
ひでー!なんて言いながら笑い合うこの時。
すごく大切で温かい。
駅に着いてお別れをしてから改札を通る。
最近、なんだかパッとしないんだ。
疲れてる?
風邪?
いや、違う。
もっと昔からあった感情が黒く渦巻いているような……
まぁ、気のせいだよね。
気にしない気にしない