糸
キーンコーン
チャイムがなって気づいたら放課後。
いつもと違う帰り道。
「バイバイ、のぞ!涼太!」
「じゃーな!」
なんて笑顔で去る紗良と晴人。
じゃ、と言って手を振る涼太と、
ラブラブだな〜ってからかう私。
自分で自分を追い詰めて行く。
紗良たちが教室を出て涼太を待つ。
「なぁ、のぞはこれでいいわけ?」
……は?
「な、なにが。」
涼太サン、質問の意味がわからないんだけど。
「晴人のことだよ。
好きなんだろ?」
「いやいやいや!それはないよ〜」
なんて笑い飛ばすけど、涼太は真剣な顔。
つい目をそらしてしまうのは
なぜだか泣きたくなったから。
「紗良も晴人もバカだよなぁ……」
なんてつぶやく始末。
ほんと、涼太意味わかんないから。
「は〜、ていうか早くメロンパン食べに行きたいから準備してよ!」
なんて少し怒り気味に言うと、わかりましたよお嬢様。なんて言いながら笑う涼太がいた。
うん、いつも通り。
これがわたしたち。