君色の手紙


《……発車します、お捕まり下さい。》



プシューー





列車がゆっくりと動き出す……。



「ふざけんなよっ!!間宮さくらぁーーーーー!!!」



バイバイ。




元気でね。




「“おめでとう” とか言ってんじゃねえぇぇーーーー!!!!」



幸せになってね。





颯斗の姿が小さくなっていく……。


颯斗はまだ私に向かって叫んでるけど、もうその声は私には届かなかった。




朝日が照らし出し、霧が晴れてゆく。



颯斗。ありがとね。



私、今日のこと忘れないよ。






颯斗の手にはタイムカプセルから出てきた私宛ての、


颯斗へのラブレターが握りしめられていた…。




「さくらの……馬鹿野郎………。」




颯斗の私への最後の言葉は、冷たい空気に溶けて流れていった。







Fin

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