星空の奇跡【短編】
「あたし早乙女さん狙っちゃおー」


さおとめさん……?て言うんだ。


なんだか……名前まで王子様……。


「あっ、そろそろ準備しなきゃね!みんな、頑張ろう!!!」




そして、ついに開演……。



ドキドキしながらステージに上がる。



1曲1曲、どんどん進んでいき、ついにバイオリン・コンチェルト……。



楽譜をめくる指でさえも震える。



早乙女さんがステージに上がると、オーケストラの演奏会とは思えないほど黄色い声援が飛ぶ。



震える指を ぎゅっと手の平に収め、深呼吸をする。



大丈夫……大丈夫……。



曲が始まり、会場は期待と惚れ惚れした視線で、異様な緊張感に包まれる。



『が・ん・ば・れ』



……え?



バイオリンを調整するふりをして、お客さんに背中を向ける早乙女さんは、私に口ぱくで微笑んだ。



私が緊張してるの、気付いたの……?




< 11 / 21 >

この作品をシェア

pagetop