星空の奇跡【短編】
「ゆ……うく……ん、さよなら……」



嗚咽し、膝に力が入らず、思わずしゃがみ込む。



その時、ふわっと暖かいものが私の背中にかかる。



びっくりして振り返ると、早乙女さんが自分のジャケットをかけてくれていた。



「こんな所で泣かないで。しほちゃん……」



え……?



「早乙女……さん……?」



早乙女さんは、高そうなタキシードなのに、地面に膝をつき、私に目線を合わせた。



そして、ふわっと頭を撫でて私の手をとった。



「すみません、彼女……疲れてしまったようなので。僕も明日早いので帰りますね。また、よろしくお願いします」


そう言いながら ホテルのエレベーターに乗った。



な……なに……!?




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