星空の奇跡【短編】
そしてエレベーターは、宴会場の20階よりどんどん上に……。



30階で止まり、また手をひかれ1つの部屋に入った。




心臓が早過ぎるほどリズムを刻む。



「あ……あの……」



窓際で外を眺める早乙女さんに、動揺しながら声をかけると優しい瞳で振り向いた。



「……間宮さん……」



―――あれ?



さっき“しほちゃん”て……。



「は、はい……」



どんどんと、早乙女さんは近付いてくる。



「この写真……見て。僕の……大切な人なんだ。小さい頃に、離れ離れになってね、いつか、七夕に会いたいと……ずっと思ってきたんだよ




まさか……奇跡が起きるなんてね。しほちゃん……。」


早乙女さんが渡した写真は私とゆうくん……。



七夕の日に、浴衣で撮った写真……。



ゆうくんがあたしのほっぺにチュウをしてる写真……。



「これ……」



涙が溢れ、もう写真も良く見えない……。



でも見なくても分かるよ。



私も



その写真、毎日持ち歩いてるから―――




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