私と、総長と、幹部候補の三角関係。



その日のうちに王牙の全員が集められた。


『お前ら、今まで世話になった。気を抜くんじゃねぇぞ。大切なものを守るために何が何でも強くなれ!』



いつもは、ノホホンとした拳さんが真面目な挨拶をした。


それに気を取られたのか呆気にとられたのか拍手すらない。




私から拍手すべき?え……でもこの雰囲気……。





パチパチパチ


その音は誰もいないはずの私達の後ろから聞こえた。


振り返ってみるとバリ綺麗な女の人がいた。


『お疲れ様でした。』


そう言って拍手し続ける彼女の目にはうっすら涙が浮かんでいた。


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