召喚女子高生・ユヅキ
「なんかおかしくない? 裁判だって、主張を覆す方が証明しなくちゃなんないのに」
「ここは、学校です。どうして、裁判の話になるんですか」
ぴしゃりとした声音に、柚月は嘆息する。
やはり、無駄に世間や校則に反発する生徒を相手にしていない。
あくまで正論で相手を認めさせようとする。
さて、どう切り抜けよう?
まさか向こうの世界みたいに、かかと落としで黙らせるわけにもいかない。
とりあえず、煙に撒けるだけ撒いてみる。
「大体、私、ローファーって好きじゃないのよ。走ったり、飛んだりすると脱げそうだし。本当は、スニーカー履きたいのよね。なんとかなんない?」
少しずつ論点をずらそうと試みるが、風紀委員の分厚い眼鏡が鋭い光を放った。
「いつ、誰があなたの要望を訊きましたか? 定められた校則に従って服装を直してくださいとお願いしているのです。そもそも、あなたには数件ほどケンカをしていたという目撃情報があります。私が声をかけたのも、その真義を確かめるためです。蒼衣さん、今から生徒指導室に来ていただけませんか?」
「…………」