召喚女子高生・ユヅキ
第16話
東雲の用件は、今後の予定を伝えるためだった。
「苑依姫の【星詠み】によると都の四ヶ所に微弱な【氣】の乱れを感じるとおっしゃっていたんだな?」
いつものように散らかりまくりの局に通され、淡々とした口調で語りかけてくる声。
その態度に複雑な気分を抱いた柚月は、黙って拝聴することにした。どさくさで持ってきたパフェを堪能しながら。
一応、東雲に「一緒に食べない?」と誘ってみたものの、あっさりと断られた。
「数日前、偶然にも都の四ヶ所に謎の巨石が現れた。いただいた地図によると場所は一致している」
苑依から事情聴取した際、燐姫の情報の他にも気になる点を教わっていた。なお、詳細な場所は料紙に記して渡してくれた。
帰り道、東雲が眺めていたのはそれである。
「優先すべきは、その正体究明だ。必要があれば君に破壊してもらう」
どこからともなく白夜がやって来て、柚月の膝の上に乗ってきた。
その姿は、さも当然とばかり。大きくのびをしたり、後ろ足で身体を掻いたりする。可愛いので好きにさせておく。
東雲も特に反応を示さないので、咎められたりはしないだろう。
「それから、昨夜【御門家】から文が届いた。邸内で、不審人物が目撃されているらしい」
せっせとパフェを片付けながら、柚月は確認してみた。