召喚女子高生・ユヅキ
「何をどう考えているか知らないけど、僕は君を召喚する時に少しだけ君の霊力をいじっている。そのまんまの【力】で戦われて、都を壊滅状態にされちゃ困るから」
「ちょっと。それ、どういう意味?」
柚月は眉をひそめ、身を乗り出す。
スカートの上にいる白夜は、すでに丸まって寝ようとしていた。
「逆説的には、君の能力や身体を故意に操作している部分は他にないし、できない」
「……それ、本当でしょうね?」
疑り深く念を押してみると、東雲が理由を説明してくる。
「すでに存在する生命の基本構造や能力値を大幅に操作するってことは、運命をねじ曲げるより難しい。ある意味、時間や空間に干渉する方が簡単なんだ。仮にできるもんなら、その薄っぺらい君の胸をどうにかしてるよ」
「ッ!?」
突然のセクハラ発言に柚月は金魚鉢を胸に抱える。今さら遅いが、図星を突かれた場所を隠すためだ。
いつそんなことを考えてたんだ、ドスケベ召喚士め。
ぶるぶると怒りに震えるが、ここで抗議したら「自意識過剰」とか言われるかもしれない。普段の「不細工」やら「怪力」などの暴言なら負ける気がしないが、この手の話題は途端に弱くなる柚月だった。
それでも屈するつもりはない。あからさまに不服だというように唇を尖らせると、東雲は俯いてしまう。