召喚女子高生・ユヅキ
第3話
召喚術と聞いて、大抵の人間は魅力的な魔法を連想するだろう。
異界の悪魔や天使を操り、剣と織り成すファンタジー。
ゲームや小説ではお馴染みのアビリティだが、柚月は大いに反論したい。
(人権侵害も、いいとこじゃん……)
何故、今まで気付かなかったのか。
異世界から召喚されるということは、こちらの都合など一切お構いなしに現地の都合で戦わされるということだ。
横暴すぎる現実である。
おかげで、召喚にまつわる単語が嫌いになった。
東雲の説明によると、この【月鎮郷(つきもりきょう)】は異世界の住人を召喚して、治安維持に努める役目があるらしい。
彼はその責任者であり、柚月を使って郷に蔓延(はびこ)る悪党どもを捕縛する権限を持っている。
当然、報酬はない。
元の世界に戻るためには、東雲の望みを叶えるしかない。
最初から対等な立場ではないのだ。
勝手に呼び出され、用がすめば速やかに元の世界へ帰される。
正義のヒーローだって、もっとまともな扱いを受けているはずだ。
いや、それよりも問題は。