召喚女子高生・ユヅキ
「────苑依(そのえ)姫の証言に、いくつか気になる点があってね」
東雲は、開口一番にそう告げた。
先日、柚月と対峙した盗賊たちは貴族の姫君を誘拐したらしい。
彼らを捕縛した時点で元の世界へ戻された柚月は、その後の経緯は知るよしもない。
とはいえ、地盤沈下させたくらいで戦意喪失する連中だ。
おそらく取り調べなどで監禁場所はすぐに割れたに違いない。
柚月は集めた料紙を丁寧にまとめながら訊く。
「それって、そのお姫様のところへ事情聴取しに行くってこと?」
「それは、もちろん」
今日の職務は事情聴取に向かうから、そのボディーガードをしろということだろうか。
それならば特段、珍しい仕事でもないのだが。
即座に頷いた東雲は、わずかに眉をひそめた。