召喚女子高生・ユヅキ
「正直、来てくれた方が僕にとっては都合がいい。それに姫の文によれば、じかに君と会って礼がしたいそうだ。珍しい菓子を用意して待っていると書いてあ……」
「行きます! 行きます! 今すぐ行きます! 行かせてください、漣さま!」
言い終わらない内に、柚月は身を乗り出す。
明らかに「断ってもいい」というメッセージを、あえて無視した。
わざわざお礼を言いたいという人間に悪いヤツはいないはず。
珍しい菓子につられたわけでもない。断じてない。絶対に。
そう理論武装するも、東雲は騙されてくれなかった。
「意気揚々、おおいに結構だけど」
やれやれといった様子で頭を振る。
「単純動物はせっかちでいけない。少しは忍耐という言葉も覚えてくれ」
「…………それ、誰のこと言ってるのカナ?」
語尾は怒りに震え、声にならなかった。