召喚女子高生・ユヅキ
「またまたー。君ひとりで俺たちから、どう奪う気?」
へらへらと笑いながら、柚月の肩に触れる。
その手首に柚月も指を這わせた。
握った瞬間、彼の体が一回転する。
「なッ!?」
宗真とは違う無様な転び方で、地面に倒れ伏す。
柚月は優雅に右腕をのばしているだけだ。
それだけで仲間が投げられたと知り、残りふたりは一気に血相を変えた。
「てめぇッ」
当然のように柚月に掴みかかろうとするが、彼女の方から距離を詰めてきた。
「ッ!?」
グッと腹部に衝撃を感じる。
見れば、柚月の細い腕が鳩尾に深々と突き刺さっていた。
ぐらりと傾く身体の背後から、三人目が襲いかかってくる。
「この女ぁぁ………ッ!」
ただし、叫んでから瞠目する。
攻撃対象である柚月の姿が消えていたからだ。
「ぁ……ッ!?」
罵る声が上擦る。
柚月は消えたのではない。素早い動きで姿勢を低くして、視界から途切れただけだ。