召喚女子高生・ユヅキ
「おれたちが間違ってた! 家族を食わせるためとはいえ、姫をさらったり、お館さまやあんたに刀を向けたりして……ッ!」
額をこするほどの本物の土下座を見せられてしまい、呆気にとられる。
拳を握ったまま、次々にあふれる謝罪を聞く羽目になった。
「本当に、申し訳なかった」
「おれたち、男にそそのかされたんでさ。『苑依姫をさらえば、【九衛家】も考えを改める』って……」
「バカなことをした。許してくれ……ッ!」
絞り出すような声で、額を地面にこすりつけた。
目をまるくさせたままの柚月に彼らを責める気は、これっぽっちもない。
自分が実際の被害者ではないし、生活に苦労していたならなおさらである。
ただ、彼らの言葉に聞き逃せないキーワードがあった。
「宗真。お館さまって、まさか……」
問われた少年は、にっこり微笑む。
「お師匠さまにも困っちゃいますよねぇ。こうやって誰かれ構わず連れて来ちゃいますから」
苦笑する宗真の表情は、まんざらでもない。
口では非難しているものの、本当に迷惑に思っているわけではなさそうだ。