召喚女子高生・ユヅキ
東雲に対する絶大な信頼が窺える。
彼の表情が、柚月は激しく不可解だった。
あの人格破綻者が、そんな優しいことするか?
刀を向けた相手をほいほいと自分の邸へ連れてきてしまったのだ。
よほど懐の深い人物か、ただの考えなしとしか思えない。
柚月が知る東雲 漣とは血も涙もないひねくれ者だ。
個人的な見解として、どちらもありえない。
他に考えられるパターンは彼らの弱みにつけ込んで、一生こき使う。
うん。
それこそ東雲っぽい。
一番それらしい案に、柚月は飛びつく。
導き出した結論が、はなはだ物騒であることに本人は気付いていない。
得心したように、ぐっと拳を握る。
「そうよ。そうに違いない!」
「なにが」
振り返ると、間近に東雲の顔がある。
それも、意地の悪そうな笑みを浮かべていた。
「うわあぁッ!?」
「ずいぶん賑やかだな」
驚いて後ずさる柚月を見つめ、さらにおかしそうに笑みを深めた。