召喚女子高生・ユヅキ
異質なものを見る、敵意の瞳。
元の世界では、知ることのなかった痛み。
仕方ない。
自分は、この世界の住人ではないのだから。
この尋常ではない【力】も、柚月自身もいまだに信じきれずにいる。
他人から見れば、立派な化物だ。
(……あれ?)
いつの間にか、東雲の腕は離れていた。
代わりに、彼の右手が太刀の柄を握る。
柚月を押しのけ、前に歩み寄りながら鞘から引き抜く。
「漣!?」
ザンッ!
柚月の声と同時に、抜き身の太刀を突き立てられた。
無様に座り込んでいる貴族の投げ出された足の真ん中に、である。
「────その言葉、撤回していただきましょう。参議殿」
その表情は氷のように冷たかった。
だが、放たれる言葉には明確な怒気が孕んでいる。
「彼女は我々と同じ血肉を持った人間です。しかも、この【月鎮郷】のために尽力する者。
彼女を愚弄することは、召喚士である僕、ひいては僕を任命した【御門家(みかどけ)】当主を愚弄したも同義ですよ」
「し、しかし……ッ!」