桃の姫〜最強姫の愛した族〜
「これは順位を競うためのケンカじゃねぇ。ただ手合わせをしたいだけだ」


〝ただ手合わせをしたいだけ〟


ただ…ね。


私も一回は龍哉とヤリあってみたいと思ったけど…。


どうしても乗り気にはなれない。


どうしたら諦めてくれる?


どうしたらこの場から逃れられる?


救いであるはずの玲也と麗は未だに桃姫の…私の正体に気づいてないみたいだし。


「あなたが違うと言っても私は賛成しないわ」


「…どうしてそこまで渋る?」


渋ってるのがわかってるなら諦めてよ!


ちっ、いつもは簡単に引くくせに!


こういう時だけはしつこいなんてっ。


しつこいは男は嫌われるんだから!


「渋るわよ。だって、私は無駄なケンカはしないって決めてるもん」


「無駄かどうかはやらねぇとわからないだろ」


「やらなくてもわかるわよ」


仲間とやり合うなんて…。


それに、ここでほいほい乗ってしまって、桃姫には簡単に勝負を挑めるって思われても困る。


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