桃の姫〜最強姫の愛した族〜
「途中からだよ」


タメ口になった玲也の言葉に、麗は1つ頷く。


「最初は暗いのもあってわからなかったけど、口調とか声が家で聞いたことあるものだったからね」


あーなるほど。


口調は桃姫=波多野 亜柚菜と気づかれないように変えていた。


それは、幼なじみである悠里が気づかないくらいだし。


それでも2人が気づいたのは、ずっと一緒にいたからかもね。


「…本当のこと知って驚いた?」


「…ううん、納得」


「え?納得したの?」


どこに納得したわけ?


「うん。でもよく考えたら、すぐに分かることだったけど」


「まぁね。ところでさ、戦うってやつ、いつやるの?」


早くして、さっさと帰りたい。


私だって暇なわけじゃない。


こうしてる間にも、情報が入るかもしれないのに。


「あー。ちょっと待って。龍哉さん、光汰さん怒るのは後にしてはどうですか?桃姫さん帰ってしまいますよ?」


玲也の言葉に、龍哉の動きがピタリと止まる。


帰れるものなら帰りたいけど。


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