桃の姫〜最強姫の愛した族〜
第五章
桃姫vs暴狼
〝暴狼〟
それが龍哉の通り名。
由来は名前のまんま、戦い方が暴れる狼みたいだから。
狼というところは、私と共通な何かを感じるけど。
「いつでもかかってきなさい」
さぁ、どうする?
「ちっ」
舌打ちをしたかと思えば、いきなり飛んでくる拳。
おっと。
拳を軽く避け、ジャンプをして後ろへと下がる。
ふむ、スピードはなかなかね。
ユウより速いんじゃないかな?
龍哉はそのまま足蹴りをしてくるが、私は屈んで避ける。
が、立ち上がったところを狙っていたのか、頬に拳が入る。
「っぅ…」
直前で避けたから掠っただけですんだけど…。
掠っただけでもこの痛さ。
拳の威力は私と同じか、それ以上だと思う。