桃の姫〜最強姫の愛した族〜
「そういうわけで、みんなはぴんぴんしてますよ」


『そうか。…決戦は3日後に迫っている。向こうもピリピリしているだろう。気を張って、周りに気をつけろ』


「了解です」


ぴっと通話を切り、ふぅ…っと息を吐く。


…すごく視線を感じるのは気のせいだろうか。


いや、絶対気のせいじゃない!!


チラッと見ると、目を輝かせて私を見る下っ端たちがそこにいた。


「うわー!ユズさんがユズさんじゃないみたいでした!」


「ユキさん、日本語じゃべろうか」


私が私じゃないみたいってどういうこと?


わかるようにお願いします。


「ユキは若頭としてのユズを見てはしゃいでるだけだよ。他のみんなもね」


「若頭の私?」


今の電話は普通に〝亜柚菜〟の口調だったんだけど…。


「…顔」


「え?顔?」


シノ、たまには主語もつけて。



単語だけじゃわからないよ。


というか、今更だけど黒狼の幹部って癖のある子ばかりだよね。


周りから見たら私もそうなんだろうけどさ。


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