桃の姫〜最強姫の愛した族〜
「そりゃあ、麗を壊せばお前らは俺が手を出さなくても勝手に壊れてくれるからな」


「こいつ…っ」


麗を壊せば?


こいつはまたあの悲劇を繰り返そうとしていたのか?


顔を殴り、お腹を殴り、女の子の体に痣ばかり作って?


逝かれてるからって、やっていいことと悪いことがあるだろ!


「おい、柚瑠」


「何よ」


今の状況で話しかけないでもらえますか。


「こいつらは敵で、お前は仲間でいいんだな?」


何を言いたいのかと思えば…。


「まだ疑ってるの?私は白龍を守りに来たのであって、潰しに来たわけじゃないよ」


そう返すと、龍哉はにっと口の端を上げた。


今のどこに笑うところがあったのかな?


「なら俺たち白龍は、お前の援護をし、麗を守る」


「もちろん、俺も援護するから安心して敵と戦えや!」


笑う2人の後ろには、優しく微笑む白龍の面子たち。


ああ、そんな優しいあなたたちだからこそ。


「麗は心を許したんだね」


「え?」


「心を閉ざしてしまった麗の心を開いてくれてありがとう」





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