桃の姫〜最強姫の愛した族〜
「柚瑠、いや、桃姫。麗を助けるための隙作り、俺たちにも手伝わせてほしい」


わざわざ言い直さなくてもいいのに。


まぁ、それだけ真剣ってことなんだろう。


「うん、お願い。私1人じゃ辛いところだからね」


「サンキュー」


お礼を言いたいのは私の方だよ。


麗のためにみんなが動いてくれる。


姉としてこれ以上嬉しいことはないよ。


「光汰は修平を挑発して。…修平がキレるように仕向けて」


「おう!任しときぃ!」


「龍哉は修平がキレたら背後に回って蹴りを入れる」


「わかったが、麗は大丈夫なのか?」


蹴りを入れたところで修平は麗を離さない。


そこを利用する。


人質は自分とそんなに身長が変わらない人間で、動くにしても動きづらい。


だから修平はきっと…。


「おい、そこっ!!何話してんだ!こいつがどうなってもいいのかっ?!」


「っ…」


「麗っ!!」


早くしないとっ…。


この間にも麗の首が締められていくだけっ。


「みんな、いい?」


頷くのを確認し、桃姫の顔つきになる。



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