桃の姫〜最強姫の愛した族〜
「光汰、サンキューな。おかげで助かった…って光汰?」


…どうしたんだ?


「おーい」


呼びかけながら、顔の前で手を振っても無反応。


まるで心ここにあらずって感じだ。


しかもいつになく真剣な顔をしている。


そこにいつものチャラさはない。


「コタっ!!」


「わっ!いきなり大声出すなや。驚くやろ!」


「それはこっちのセリフ。いつまでボーッとしてんだよ」


授業、とっくに始まってんだけど。


そんなこと、こいつは気づいてないんだろうな。


まぁ、俺は真面目ってわけじゃねぇし、勉強は得意だから別に出なくても支障はないが…。


こいつの場合、出ないとヤバイんじゃねぇか?


どう見てもアホそうだし。


「ホンマや…。ボーッとしすぎたわ!授業始まってるやんな、ごめんな?」


「謝るくらいならボーッとすんな」


「すんません」


って、そんなに落ち込まなくてもよくね?


こっちが悪者見たいじゃねぇか。



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