EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ
「そ、そんな顔してません!」
「ふっ、鏡が必要か?」
頬を赤らめて慌てる孫を楽しそうに眺める雪風はからかいモード全開だ。
「必要なのは月那です!月那を返して頂きますよ」
雪風の膝に乗っていた月那を氷河がひょいと抱き上げる。
「え!?ひょうがさま!?」
ビックリしている月那を抱っこしたまま部屋の外へ。
怒りを表すようにドカドカと足音を立てて氷河は廊下を歩いた。
(うぅ……こわいよ…)
氷河は怒っている。
それがヒシヒシと伝わってくるから月那はビクビクだ。
「月那」
「ふぁい!?」
立ち止まった氷河に突然名前を呼ばれ、変な声が出た。
しかし氷河は気にすることなく月那の瞳を真っ直ぐ見つめた。
「月那、すまなかった」
「え…?」
「やはり俺には無理だったんだ。お前を無視するなど、できない」
「え?え?」
「千夜の馬鹿はあとで懲らしめておく。お前に寂しい思いをさせた罰を与えておこう」
言いながら彼は人間用のキッチンに入った。
月那をテーブルにつかせ、彼女の目の前にホットケーキが乗った皿を置く。
「俺からの償いはこれだ。食べてくれるか…?」
出されたホットケーキと氷河を交互に見つめ、月那は目を丸くした。
「これ…ひょうがさまが作ったんですか?」
「……ああ」