EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ
「なあアニキ。最近月那の奴、元気なくねぇ?」
「ああ。確実に変だ。俺の作った大好物のチーズケーキをいらないと言うなんて有り得ない。腹でも下したか」
「アニキ…そろそろコックになれんじゃねぇ…?」
魔冬兄弟が屋敷の廊下でそんな会話をしていた時だった。
月那と駿が部屋から出て来るところに出くわした。
「月那」
氷河に呼ばれビクリと反応する。
月那は恐る恐る大好きなご主人様を見上げた。
「おいで月那。近頃のお前の態度について、少し話をしようじゃないか」
腕組みをして妖艶な流し目を送ってくる氷河。
しかし、何も聞かれたくなかった月那は全力で逃げた。
「ご、ごめんなさーい!!!!!!」
「あっ!こら待て!!」
追いかけようとした氷河だったが、駿に先を越された。
「すみません氷河さま!俺が行くんで!大丈夫ですっ」
「駿っ…」
月那の後を追う駿の背中を見送り、氷河は立ち止まって歯ぎしり。
「ひょー!月那の逃げっぷり素早かったな~」
「ふん!後で絶対捕まえて聞き出してやる。あからさまに俺から逃げた理由をな」