EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ
その日の就寝前のことだった。
思い切って月那は一人で風呂に入ることにした。
お腹が痛いからと嘘をついてトイレに引きこもり、一佳達と時間をずらす。
二人が風呂場から居間に戻ってきたのを確認してから、月那は入浴の準備を始めた。
(毎日毎日……あんなこと…耐えられないよ)
だからって真っ向から一佳に抵抗できない。
もともと人と争うのが嫌いなため、文句があっても全て飲み込んでしまう性格なのだ。
(私がガマンすれば、誰も傷つかない…。けど……)
逃げたくなる。
(私は…弱いから……)
ああ、明日はどんなふうにして地獄から逃げようか。
鬱々とそんなことを考えながら脱衣所で服を脱ぎ、ガラッと風呂場の扉を開けた。
「ん…?月、那…?」
「え?」
なんと湯船でくつろぐ先客がいた。
今一番会いたくない人物、魔冬氷河だ。
「ひょ…ひょひょひょひょ、氷河さまぁあ!!!!!!?」
「うるさい!そしてくどい。何回ひょを言うんだお前は」
「ごめんなさい!失礼しました!!」
主人の半裸を見てしまった。
男性の裸に全く免疫のない月那は一瞬で顔を真っ赤にさせ風呂場から出て行こうとした。
が――。