EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ
「チッ…」
早苗の土下座に免じてドサリと畳に一佳を投げ捨てる。
一佳はボロボロと涙を流しながら大声を上げた。
「だっ…て!月那ばっかり…ずるいんだもん!!月那が氷河さまのこと、とるから!!」
「は?俺が原因なのか?月那が俺をとるだと?」
汚らわしいものを見る目つきで一佳を見下ろす氷河。
彼は泣きじゃくる一佳の前髪を掴み上げた。
「馬鹿が。月那が俺をとったんじゃない。俺が月那を選んだんだ。勘違いするな」
氷河の赤い瞳がギラリと光った次の瞬間。
――ブツリ
断末魔のような悲鳴が上がる。
血走った目の吸血鬼が一佳の首に噛み付いた。
「氷河さま…!!」
傍観するしかない早苗と駿が目を見開き、ガタガタと震える。
彼が血を飲み下す音がやけに大きく部屋に響いた。
と、その時。
カラリ――と襖が開かれ、風呂上がりの月那が中に入って来た。