EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ
「氷河さま…?」
「月那…」
愛しい存在に名前を呼ばれ、顔を上げる。
彼の腕の中には血まみれの一佳。
グッタリしてピクリとも動かない友達を見て、月那は言葉を失った。
「安心しろ月那。お前を傷つける奴には…」
優しげに微笑みながら、月那の大好きな笑みを浮かべながら、氷河は残虐に手を動かした。
「俺がこうしてやるからな」
一佳の首が引き千切られた。
血が飛び散り、畳を汚す。
視界に広がる赤、あか、アカ――。
「アニキ!?何やってんだよ!!」
月那の後ろにいた千夜が焦った表情で氷河に駆け寄った。
一佳の死体を隠すようにして周りに叫ぶ。
「月那!早苗!駿!部屋から出ろ!!早く!!」
いち早く反応したのは駿だった。
言われた通り、早苗と月那を引っ張って廊下へ出る。
駿はピシャリと部屋の襖を閉め、凄惨な現場と自分達の間を遮断した。
「氷河さま……何してたの…?一佳ちゃん…どうしたの?」
呆然としている月那が駿に問い掛ける。
しかし駿も今見た光景が衝撃的すぎて、上手い説明をすることができなかった。